労働基準法・改善基準告示 ・ ステージ3

労働契約・解雇・賃金のルール

この章でわかること

1なぜ禁止がたくさんあるの?

働く人は、会社にくらべて立場が弱くなりがちです。「辞めたら罰金」「借金を返すまで働け」のような契約で縛られないよう、労働基準法は労働者を縛る手口をまとめて禁止しています。

✕ 違約金・賠償額の予定「途中で辞めたら罰金10万円」など。実際に出た損害の請求は別。
✕ 前借金との相殺前貸ししたお金を賃金から差し引いて、辞められなくする。
✕ 強制貯金契約に付けて貯金をさせる・会社が管理する。
✕ 強制労働暴行・脅迫・監禁などで働かせる。
✕ 中間搾取法律で許される場合以外に、他人の就業に入りこんで利益を得る。
✕ 差別的取扱い国籍・信条・社会的身分を理由にした労働条件の差別(均等待遇)。

「労働者が同意していても」禁止。同意があればOK、という選択肢はひっかけです。

2契約を結ぶとき・終わるとき

契約時に労働条件を明示→事実とちがった→労働者は即時に解除できる

住む所を変えて就職した人が、解除から14日以内に帰郷するなら、必要な旅費は使用者が負担。

有期契約の上限3年原則。専門的知識をもつ人・60歳以上は5年
退職・死亡のとき7日以内に賃金を払い、金品を返す(請求があれば)

退職するときに使用期間・業務の種類・賃金・退職の事由などの証明書を請求されたら、遅滞なく交付します。

3解雇できない期間(解雇制限)

業務上のけが
療養のための休業中+30日
産前産後
産前産後の休業中+30日

斜線の期間は解雇できない。休業が終わっても、そのあと30日間はまだ解雇できません。

解雇予告は30日

解雇するときは、少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を払います。予告の日数と手当の日数を足して30日になればOKです。

「14日」に注意「14日前に予告」はひっかけ。14日は「帰郷旅費(解除から14日以内の帰郷)」で出てくる数字です。

4賃金支払いの五原則

① 通貨で現物(商品など)で払わない
② 直接本人に払う(親や代理人ではなく)
③ 全額を勝手に差し引かない
④ 毎月1回以上2か月まとめてはだめ
⑤ 一定の期日に「毎月25日」のように決める

差し引いてよいのは、法令に定めがあるもの(税金・社会保険料)か、労使協定があるもの(社宅費など)だけ。

出来高払でも最低保障歩合制(出来高払制)でも、労働時間に応じた一定額の賃金を保障しなければなりません(保障給)。

5就業規則と打切補償

就業規則常時10人以上で作成し、労働基準監督署長に届出。変更したときも届出。掲示・備付け・書面交付などで周知する。
打切補償業務上のけが・病気の療養開始から3年たっても治らないとき、平均賃金1,200日分を払えば、その後の補償をしなくてよい。

6例題で確かめよう

例題1

正しいか、誤りか。「労働者本人が同意していれば、契約期間の途中で退職したときの違約金を定めることができる。」

答えと解き方を見る

誤り。違約金・損害賠償額の予定は、同意があっても禁止です。

例題2

業務上のけがで休業していた労働者が、ある日から出勤できるようになった。いつから解雇の対象にできるか(予告の手続きは別として)。

答えと解き方を見る

休業が終わってから30日間は解雇できない。その30日を過ぎてからです。

例題3

社宅の費用を賃金から差し引きたい。必要なものは何か。

答えと解き方を見る

労使協定。法令に定めのない控除(社宅費など)は、労使協定があるときだけ差し引けます(全額払の原則の例外)。

7試験でねらわれるひっかけ

解雇は少なくとも14日前に予告する
30日前に予告、または30日分以上の平均賃金
産前産後の休業中は解雇できないが、復帰した日からは解雇できる
休業期間とその後30日間は解雇できない
有期労働契約の上限は原則5年
原則3年(専門的知識・60歳以上は5年)
退職者の請求から30日以内に賃金を払う
7日以内

まとめ

ドリルで確かめる(労働契約と賃金)

要点ノートで見直す

出典:労働基準法 第3〜6・14〜24・27・81・89・106条。2026年10月時点の内容です。法令や告示は改正されることがあるので、試験の前には最新の公式資料で確認してください。