労働基準法・改善基準告示 ・ ステージ2

トラックの拘束時間と休息期間

この章でわかること

1なぜ、こんな決まりがあるの?

トラックの運転者は、荷物の積み下ろしや荷待ちもあって、どうしても働く時間が長くなりがちです。長く働いて休みが足りないと、眠気や疲れで判断が遅れ、大きな事故につながります。

そこで国(厚生労働省)は、運転者の命と健康を守るための基準を決めています。これが改善基準告示(正式名称は「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」)です。2024年4月に改正され、それまでより厳しい数字になりました。

働く時間が長い→休みが足りない→眠気・疲れ→判断が遅れる→事故
改善基準告示= 最初の2つ(働く時間・休み)に上限と下限をつけて、この流れを止める
考え方のコツこの章の数字は全部「運転者を疲れさせすぎない」ためのもの。数字に迷ったら「休みを多く取らせるのはどっち?」と考えると、正解に近づけます。

2まず、ことばを整理しよう

1日の流れを、出社から次の出社までの帯で見てみます。

1日目
運転・作業運転・荷待ち休息期間
始業終業次の始業
労働時間休憩時間休息期間
拘束時間(始業〜終業)
労働時間運転・荷積み荷下ろし・荷待ち・点呼・点検
休憩時間勤務中の休み
休息期間終業〜次の始業
睡眠・食事・通勤・家族の時間

青い枠の中は全部「拘束時間」。休憩も荷待ちも、枠の中にいます。

拘束時間

始業から終業までの、会社にしばられている時間ぜんぶ。拘束時間 = 労働時間 + 休憩時間です。休憩中も職場にいて、すぐ仕事に戻れる状態なので、拘束時間に入ります。

休息期間

終業から次の始業までの、自由に使える時間。眠る、ご飯を食べる、通勤する、家族と過ごす…という生活の時間です。勤務中の「休憩」とは別ものです。

荷待ちはどっち?荷物の積み下ろしを待っている時間は、すぐ動けるように待機しているので労働時間(手待ち時間)。休憩ではありません。

31日の拘束時間と休息期間

1日の拘束時間13時間以内が基本。延ばしても最大15時間
休息期間11時間以上を基本に。9時間を下回らない

この2つは組になっています。毎日同じ時刻に始業するなら、1日24時間は「拘束」と「休息」に分かれます。

基本
拘束 13h休息 11h
ぎりぎり
拘束 15h休息 9h
✗ 違反
拘束 16h休息 8h
0h12h24h

どの行も合計24時間。拘束をのばすと、そのぶん休息が削られます。

覚え方「13と11」「15と9」。どちらも足して24。片方を覚えればもう片方も出てきます。

拘束が14時間を超える日は、1週間に2回までが目安です(バス・タクシーは週3回)。15時間まで延ばせるといっても、毎日はだめ、ということです。

13h 14h 15h ①②③✗ 休休 月火水木金土日 1314.5121514.5

1日ずつ見ればどの日も15時間以内。でも14時間を超えた日が週3回目(金曜)になった時点で、目安オーバーです。

※宿泊をともなう長距離の運行には、拘束16時間・休息8時間(週2回まで)の特例があります。「特例のきまり」の章で扱います。

4いちばん大事:「1日」の数え方

改善基準告示の「1日」は、カレンダーの日付(0時〜24時)ではありません。始業した時刻から数えて24時間です。

ふつうはこれで困りませんが、次の日の始業が早いと問題が起きます。前の日の「24時間」の中に、次の日の仕事が食い込むのです。食い込んだ時間は、前の日の拘束時間にも足します。

① 始業時刻を見る→② その24時間後は何時?→③ 次の始業がそれより早ければ、差を足す
月曜
7:00〜19:00 勤務 12h休息 9h3h
月7:0019:00火4:007:00
火曜の勤務が、月曜の24時間に食い込んだ部分

月曜は7時に始業したので、月曜の「1日」は火曜の朝7時まで。火曜は朝4時に始業したので、4時〜7時の3時間が重なります。

ひっかけ注意勤務表だけ見ると月曜は12時間。でも答えは15時間。試験では「始業時刻が日によって違う勤務表」が出たら、まずこれを疑いましょう。なお、1か月の合計を出すときは、重なった時間は1回だけ数えます。

51か月・1年の拘束時間

1日ごとの上限を守っても、それが毎日続けばくたくたです。そこで、1か月と1年の合計にも上限があります。

原則労使協定がある場合
1か月284時間以内310時間まで(1年のうち6か月まで)
1年3,300時間以内3,400時間まで
いつでもOK協定があればOK✗
250h284h310h

1か月の拘束時間のものさし。310時間を超えたら、協定があっても違反です。

労使協定(会社と労働者の代表の約束)を結べば延ばせますが、条件が2つ付きます。

123456789101112
◯123456789101112
✗連続123456789101112
✗回数123456789101112
284時間を超えた月

◯は年6か月・連続3か月までに収まっている。「✗連続」は4か月続いている。「✗回数」は続けて3か月以内でも、1年で7か月になっている。

覚え方「ふつうは284(にーはちよん)、がんばっても310(さんいちまる)で年に半分まで、続けて3か月まで」

6休息を分けて取る「分割休息」

仕事の都合で、どうしても勤務のあとに続けて9時間休ませられない日があります。そのときだけ、休息を分けて取ることが認められています。

ふつう
勤務休息 9h〜
2分割
勤務3h勤務7h
3分割
勤務3h勤務3h勤務6h

2分割は 3+7=合計10時間、3分割は 3+3+6=合計12時間。どの休息も1回3時間以上。細かく分けるほど、合計は多く必要になります。

分けるほど細切れで疲れが取れにくいので、そのぶん合計時間が増えていく、と理解しておきましょう。

7休日に働かせるとき

休日労働は2週間に1回まで。しかも、休日に働いた時間も含めて、1日・1か月・1年の拘束時間の上限を超えてはいけません。「休日だから別枠」にはならないのがポイントです。

月日月日
◯出休休休
✗出休出休
勤務日休日休日に出勤

2週間(14日)のうち、休日出勤は1回まで。下の段は2回なので違反です。

8バス・タクシーと比べて覚える

同じ改善基準告示でも、車の種類で数字が少しずつ違います。試験では入れかえたひっかけが出るので、並べて見ておきましょう。

トラックバスタクシー
(日勤)
1か月の拘束284時間281時間288時間
1日の拘束13時間が基本・最大15時間(共通)
14時間超の日週2回まで週3回まで週3回まで
休息期間継続11時間が基本・9時間を下回らない(共通)
分割休息の1回3時間以上4時間以上—

9例題で確かめよう

例題1

ある運転者の勤務は、水曜が6:00〜18:00、木曜が4:00〜16:00でした。水曜の1日の拘束時間と、水曜の勤務後の休息期間は、それぞれ何時間か。

答えと解き方を見る
  1. 水曜の勤務は6:00〜18:00で12時間。
  2. 水曜の「1日」は、6:00から24時間後の木曜6:00まで。
  3. 木曜は4:00に始業しているので、4:00〜6:00の2時間が水曜の24時間に食い込む。
  4. 水曜の拘束時間 = 12 + 2 = 14時間(15時間以内なのでOK。ただし14時間ちょうどなので「14時間超」には入らない)。
  5. 休息期間 = 水曜18:00〜木曜4:00 = 10時間(9時間を下回らないのでOK)。
水曜
6:00〜18:00 12h休息 10h2h
水6:0018:00木6:00
木曜4:00〜6:00(水曜の24時間に食い込んだ分)

例題2

正しいか、誤りか。「労使協定を結べば、1か月の拘束時間を310時間まで延ばすことができ、この延長は連続6か月まで認められる。」

答えと解き方を見る

誤り。310時間まで延ばせるのは「1年のうち6か月まで」で、しかも284時間を超える月は「連続3か月まで」です。「6か月」と「3か月」を入れかえたひっかけです。

10試験でねらわれるひっかけ

1年の拘束3,516h → 3,300h
1か月の拘束293h → 284h
1日の最大16h → 15h
休息期間8h → 11h下限9h

赤い数字は改正前。選択肢に出てきたら、まずひっかけを疑いましょう。

まとめ

ドリルで確かめる(トラックの拘束)

要点ノートで見直す

出典:改善基準告示(トラック)、厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」。2026年10月時点の内容です。法令や告示は改正されることがあるので、試験の前には最新の公式資料で確認してください。